コアの安定性


効果的に体にエネルギーを伝える 



体を加速、減速したり、方向転換したりする際の重要なポイントは重心の加速機構である。効果的にパワーを発揮し、かつそれ以外の部分の剛性を高め、効率的にパワーを伝達することによりそれは達成できる。自動車で言えば、エンジンやトランスミッションの性能を上げ、サスペンションやシャシーの剛性を高めることが重要である。
ほとんどの場合、重心の加速機構は股関節、足関節、膝関節(縦方向)の可動により行われる。従って脊柱、そして膝関節の左右方向への安定性、すなわち剛性を高めなければ前者の関節群における複合的パワーを生かすことができない。特に脊柱の安定性は非常に達成が難しい。脊柱の高い機械的安定性を保つためには
ニュートラルスパイン を保つ必要がある。ニュートラルスパインとは、脊柱の自然なカーブを意味している。脊柱はそれそのものではわずか20N程度の上下方向への圧力にしか耐えることができないと言われている(McGill2002)。しかし、ニュートラルスパインにおいて体幹部の筋群を正しく複合的に使うこと(アブドミナルブレイシング:Abdominal Bracing)で安定性を飛躍的に高めることができる。Abdominal Bracingには練習が必要で、腹横筋などのインナーマッスルを収縮しつつ(腹をへこませるように)外層の脊柱の屈筋群、伸筋群、回旋筋群などを同時に中間位、すなわちニュートラルスパインで収縮することにより達成される。

ほとんどのスピード向上エクササイズ、さらには重心移動に関わるスポーツスキルにおいて、この剛性の高い(受動的に高い弾性力を保った)脊柱と膝関節の左右回旋方向への高い安定性を保ちつつ、股関節、足関節を中心としたパワフルな動作で地面に対して力を加え、その反作用によって重心のコントロールは達成されるのである。


多くのダイナミックなエクササイズ、動作において、このコアの安定性を保てる事が、動作やスキルをパワフルに行い、かつけがのリスクを減らすために絶対不可欠なものなのである.

コアの筋力や、機能は単一のエクササイズによって得られるものでは 無い が、コアアクティベーション、すなわち活性化を行う事により、その後のあらゆる動作におけるコアの機能が高まる。

また、スクワットなどのダイナミックな動作でも正しく使う事でコアの機能を高める事が出来る.


ニュートラルスパイン



core muscularture

上の図を見てもわかる通り、背骨は微妙に曲がってS字構造をとっている。この上体を保つという事がニュートラルスパインをたもつということである。
(Inspired Athletics コアセミナー2006より引用)



そして、右側の図を見てもわかる通り、体幹部には大きな筋肉だけでも様々なものが入り交じり安定化に寄与している。

安定化のコンセプト



脊椎の研究を続けている
PHD,University of Waterloo,CanadaStuart McGill博士は著書の中で以下のような図を使って、安定化のコンセプトを説明している。

stability
Low back disorder, McGill, S. 2002 Human Kinetics より引用
ここでは筋肉をバネとして示している.様々な筋肉が内側や外側から安定性を保つために働いているのがわかると思う.