ムーブメントトレーニング



ムーブメントトレーニングとは?

様々なスピード、アジリティトレーニングを行うにあたって、まず行わなければならないのはこれらの動作を構成する基本的動作を習得することである。これらの基本動作エクササイズはそれぞれの動作の目的を達成するために必要な要素を
段階的 にコントロールして習得するために行う。したがって、競技動作を真似た動作を常にトレーニングするのではなく、その根幹をつかさどるより非常に単純な動作の基本を正しく行える難易度のレベルで習得し、それが習得できた上で、基礎的な動作を利用した複雑な動作を習得してゆく必要があるのである。これがムーブメントトレーニングである.

言い換えれば
ムーブメントトレーニングとは基礎動作の習得ドリルであると言える.

動作には地面に対する重心移動のアプローチによって大きく分けて、リニア動作ラテラル動作クロスオーバー(トランスバース)動作の3種があると定義出来る。

ジェフリーズら(2006)はスポーツにおける方向転換のプロセスをInitiation,Transition,Actualizationと分類している。スポーツにおける動作を直線的な移動と方向転換、そしてスポーツ特異スキルの組み合わせ(キャッチングやシュートなど)と、考えると、リニア動作は、フィニッシュであるActualizationや直線移動、そしてラテラル動作はTransition、トランスバース動作はそれらをつなぐもの、すなわちInitiationやそれ以外の動作への移行であると考えられる.


これらの動作を実際に習得するためにここでは6種類のアプローチを用いる。それらは、
Aドリル、ウォール(壁)ドリル、レジステッド(負荷つき)ドリル、反発力ドリル、減速ドリル、フリードリルである。

Aドリル

とは直立位において=もっとも姿勢のコントロールがしやすいポジション、において正しい姿勢を維持したまま効果的に地面を押すドリルである。この際に地面を押している足が足から頭まで直線を描き、足裏を大きく使って全身で地面に力を加えることが重要である。

ウォールドリル

とは前傾位もしくは内傾位、すなわちより姿勢のコントロールが難しいが、より現実的な加速ポジション、において正しい姿勢を維持したまま効果的に地面を押すドリルである。重心の移動が起こらないので比較的姿勢の制御がしやすい。このドリルにおいては、Aドリルと同様に足から頭までが一直線のラインを形成し、壁を強く押せるポジションを作ることが重要である。

レジステッドドリル

とは前傾位もしくは内傾位、すなわち姿勢のコントロールが難しいがより現実的な加速ポジション、において正しい姿勢を維持したまま効果的に地面を押すドリルである。重心の移動が起こるので比較的姿勢の制御がより難しい。より現実的なポジション。負荷がかかっているため前傾角に対して重心の移動速度が遅いため比較的コントロールが容易である。前出の2つのアプローチよりもコントロールすべき点が多いため、アスリートのレベルにあった適切な負荷と難易度、そして速度を選定して行うべきである。

反発力ドリル(プライオメトリックス)

とは床反力を利用し、爆発的にかつ連続的に反発力を得るためのポジション作りのドリルである。プライオメトリックストレーニングよりもより低い強度で、正しい角度とポジションで反発力を得ることが出来るための技術を習得することが目的である。これは、次項のジャンプトレーニングで説明してゆく。

減速ドリル

とは効果的にかつ安全に減速できる技術を習得するためのドリルである。トリプルフレクションを利用して重心を低く、かつ体幹部の付近に移動し、かつ最加速、方向転換にすぐに適応できるポジション、すなわちパワーポジションにすばやく移動する技術を習得する。リニアとラテラルそして、クロスオーバーを複合的に使う事がある.

フリードリル

基本動作を壁や負荷などをかけずほぼフルスピードで行う。